賃金制度はどの業種でも共通の悩み

多くの医療機関・福祉施設で、賃金制度をどのようにすればよいか頭を悩ませています。医療機関・福祉施設に限ったことではありませんが、賃金制度に問題がある場合、次のいずれかのパターンに集約されます。

  • そもそも賃金制度が未整備であり感覚や場当たり的に賃金を決めている。

  • 賃金制度はあるがすでに制度疲労をおこしていて現在の医療福祉を取り巻く労働環境にマッチしていない。


問題を先送りすればするほど解決は難しくなる

賃金制度に問題があるということを気づいていたとしても、どうしても問題を先送りしてしまう医療機関・福祉施設も多いのが現状でしょう。

しかし、実際に賃金制度の見直しを行う場合には、賃金を抑制するだけではうまくいきません。

なぜなら、賃金制度の見直しの際には抑制すべきところは抑制することは当然ですが、今まで世間相場よりも低かった若年者の賃金や、責任が増している管理者・役職者の賃金などは金額を上げた設計をする必要もでてくるからです。

そのため、一時的に昇給原資が必要となる場合もあります。

それには、医療機関・福祉施設の体力がなくなる前に賃金制度を見直しする必要があります。

ぎりぎりのところまで来て見直しをすると、賃金については下げる一方ということにもなりかねません。

そうなると、職員のモチベーションが下がって退職者が相次ぎ、人材確保が難しくなる可能性が高くなります。


「労働時間」と「不利益変更」の対策は必須条件

賃金制度を見直す際には、「労働時間」と「不利益変更」の対策をしっかりと行っておく必要があります。

例えば、基本給や諸手当の金額を変更する場合、労働時間の管理なども同時に考えないで行えば大幅に残業代が増える可能性があります。

なぜなら、医療機関・福祉施設は労働時間の管理が不十分な施設が多いため、未払い残業代の問題が潜んでいるからです。

うちの職員はサービス残業をしていても、残業代を払えとは言わないから問題はないと思うかもしれません。

しかし、仮に職員が「残業代はいりません。」といっても、残業代の支払い義務は免除にはなりません。

それに、これだけインターネットが発達した現在では、職員の方も労働基準法などに精通している場合もあります。

最近はこうした未払い残業代を退職後に請求してくるといった「未払い残業代請求問題」も増えてきています。

残業代の問題をそのままにしておけば、ある日、突然、多額の残業代を支払わなければならない日がくるとも限らないのです。

ですから、賃金制度を見直すときには時間外労働など労働時間について同時に考える必要があるのです。


一方的な制度変更ではトラブルを生む

役職に就いている訳でもないのに賃金が高いベテラン職員の賃金を制度の見直しの際に下げることは多くの経営者が期待することですが、こうしたことは不利益変更の問題となります。

例えば、旧賃金制度から新賃金制度に各職員を移行させたときに賃金の金額が下がってしまう場合は、差額分に対して調整手当などを支給するなどして、現在支給している賃金が下がらないように配慮する必要があります。

また、基本給と退職金が連動している場合はこちらも検討しておく必要があります。

ですから、賃金制度の見直しあたっては多方面からのシミュレーションが絶対に欠かせません。

また、職員に対して事前に賃金制度の見直しについて十分な説明を行っておくことも重要です。

賃金制度に見直しについては、性急に制度改定をすすめると職員の不信感が高まる場合もありますので、場合によっては当初のスケジュールを繰り下げるなどしても、職員に対しては真摯な対応をすべきでしょう。

こうした配慮を行わずに、新しい賃金制度を導入したからといって一方的に職員の賃金を下げてしまうと、賃金制度の見直しが無効となる可能性が高くなりますし、職員との間にも溝ができてしまいます。

このように、賃金制度を見直す際には、「労働時間」と「不利益変更」の問題は必ず押さえておかなければならないポイントです。

この2つを押さえておかなければ、いつ重大なトラブルに発展するかわかりません。

しかし、実際にはこの2点を押さえずに賃金制度を変更してしまう医療機関・福祉施設が多く、非常に危険です。


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